減価償却の計算方法
減価償却は、建物附属設備・器具備品・車両・ソフトウェアなど、使うにつれて価値が減る資産の取得価額を、法定耐用年数にわたって費用(損金)に配分する手続です。平成19年4月1日以後に取得した資産は、最後に備忘価額1円を残すところまで償却できます。
定額法
定額法の償却率は「1 ÷ 耐用年数」を小数点以下3位に切り上げた率です(例: 4年 0.250、6年 0.167、15年 0.067)。毎年ほぼ同じ金額になります。
200%定率法(平成24年4月1日以後に取得)
償却率は定額法の償却率の2倍(2 ÷ 耐用年数)です。最初は大きく償却し、帳簿価額が減って調整前償却額が償却保証額を下回った年から、その年の期首帳簿価額(改定取得価額)に改定償却率を掛けた均等額に切り替えます。
計算例: 1,000,000円・耐用年数5年・200%定率法(12か月)
| 年 | 期首帳簿価額 | 償却額 | 期末帳簿価額 |
|---|---|---|---|
| 1年目 | 1,000,000 | 400,000 | 600,000 |
| 2年目 | 600,000 | 240,000 | 360,000 |
| 3年目 | 360,000 | 144,000 | 216,000 |
| 4年目(改定) | 216,000 | 108,000 | 108,000 |
| 5年目 | 108,000 | 107,999 | 1 |
4年目は 216,000 × 0.400 = 86,400円 が償却保証額 108,000円(1,000,000 × 0.10800)を下回るため、216,000 × 改定償却率 0.500 = 108,000円 に切り替えます。同じ資産を定額法で、決算月の6か月前に使い始めた場合は 100,000円(初年度)→ 200,000円 × 4年 → 99,999円 です。
200%定率法の償却率表(抜粋)
| 耐用年数 | 償却率 | 改定償却率 | 保証率 | 定額法の償却率 |
|---|---|---|---|---|
| 2年 | 1.000 | ― | ― | 0.500 |
| 3年 | 0.667 | 1.000 | 0.11089 | 0.334 |
| 4年 | 0.500 | 1.000 | 0.12499 | 0.250 |
| 5年 | 0.400 | 0.500 | 0.10800 | 0.200 |
| 6年 | 0.333 | 0.334 | 0.09911 | 0.167 |
| 7年 | 0.286 | 0.334 | 0.08680 | 0.143 |
| 8年 | 0.250 | 0.334 | 0.07909 | 0.125 |
| 10年 | 0.200 | 0.250 | 0.06552 | 0.100 |
| 15年 | 0.133 | 0.143 | 0.04565 | 0.067 |
| 20年 | 0.100 | 0.112 | 0.03486 | 0.050 |
このツールは耐用年数2〜50年の全行を、e-Gov法令検索の省令本文(別表第十)から取り込み、国税庁の「減価償却資産の償却率等表」と照合しています。
主な資産の法定耐用年数
| 資産 | 耐用年数 | 勘定科目の例 |
|---|---|---|
| パソコン(サーバー用以外) | 4年 | 工具器具備品 |
| サーバー用電子計算機 | 5年 | 工具器具備品 |
| 複写機・プリンター | 5年 | 工具器具備品 |
| ソフトウェア(自社利用) | 5年 | ソフトウェア(定額法) |
| 普通自動車 | 6年 | 車両運搬具 |
| 軽自動車 | 4年 | 車両運搬具 |
| 冷房用・暖房用機器(エアコン) | 6年 | 工具器具備品 |
| 事務机・いす・キャビネット(金属製以外) | 8年 | 工具器具備品 |
| 電話設備その他の通信機器 | 10年 | 工具器具備品 |
| 建物附属設備(電気設備・照明設備) | 15年 | 建物附属設備(定額法) |
耐用年数は「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」別表第一〜第六で、資産の構造・用途・細目ごとに決まっています。中古資産は簡便法(法定耐用年数 −経過年数 + 経過年数×20% など)で見積もることができます。
少額の減価償却資産の判定(法人)
| 取得価額 | 処理 |
|---|---|
| 10万円未満(または使用可能期間1年未満) | 事業の用に供した年度に全額を損金経理(消耗品費など) |
| 20万円未満 | 一括償却資産として3年で均等に損金算入(月数按分なし・償却資産税の対象外) |
| 40万円未満(令和8年3月31日以前の取得は30万円未満) | 中小企業者等(青色申告)は全額を損金算入できる(事業年度の合計300万円まで) |
| 上記以外 | 通常の減価償却 |
判定は通常1単位として取引される単位ごと(応接セットは1組、カーテンは部屋ごと)に行い、税抜経理なら税抜、税込経理なら税込の金額で判定します。中小企業者等の特例は、令和8年度改正で令和8年4月1日以後の取得から取得価額の基準が40万円未満に引き上げられ、常時使用する従業員数の基準は400人以下(改正前500人以下)に変わりました。適用期限は令和11年3月31日までの取得です。なお、一括償却資産は償却資産税(固定資産税)の申告対象になりませんが、少額減価償却資産の特例を使った資産は申告対象です。
仕訳の例(直接法)
間接法では、貸方を「減価償却累計額」にして、資産の取得価額をそのまま残します。法人では別表十六(一)・(二)に償却限度額の計算を記載します。
よくある質問
初年度の月数はどう数えますか?
事業の用に供した月から事業年度末までの月数です。月の途中で使い始めても1か月と数えます。たとえば3月決算の法人が10月23日に使い始めたら、10月〜3月の6か月です。買っただけで使っていない期間は償却できません。
法人は定額法と定率法のどちらになりますか?
届出をしなければ、器具備品・車両・機械装置などは定率法(法定償却方法)です。定額法にするには「減価償却資産の償却方法の届出書」を提出します。建物、平成28年4月1日以後に取得した建物附属設備・構築物、ソフトウェアなどの無形固定資産は定額法だけです。個人事業主は届出がなければ定額法です。
30万円のパソコンは一括で経費にできますか?
青色申告の中小企業者等なら、少額減価償却資産の特例で全額を損金に算入できます。令和8年4月1日以後の取得は40万円未満まで対象です。ただし事業年度の合計で300万円が上限で、別表十六(七)の添付が必要です。
償却が終わったら帳簿価額はどうなりますか?
1円(備忘価額)を残して償却が終わります。資産を除却・売却するまで1円のまま帳簿に残します。
改定償却率に切り替わるのはいつですか?
期首帳簿価額 × 償却率(調整前償却額)が、取得価額 × 保証率(償却保証額)を下回った事業年度からです。その年の期首帳簿価額を改定取得価額として、以後は毎年 改定取得価額 × 改定償却率 を償却します。
出典
- e-Gov法令検索 減価償却資産の耐用年数等に関する省令(別表第一〜第十)
- 国税庁 減価償却資産の償却率等表(PDF)
- 国税庁 主な減価償却資産の耐用年数表(PDF)
- 国税庁 No.2100 減価償却のあらまし
- 国税庁 No.5403 少額の減価償却資産になるかどうかの判定
- 国税庁 No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
- 計算方法の解説(ISZ GROUP): 勘定科目の一覧と仕訳の例 — 領収書の仕訳・会議費と交際費の違い(1人1万円)
- 計算方法の解説(ISZ GROUP): 法人税申告書の作り方 — 別表の構成と作成の順番、勘定科目内訳明細書・法人事業概況説明書、e-Tax での提出
- 計算方法の解説(ISZ GROUP): 減価償却の計算方法 — 定額法・200%定率法、少額減価償却資産(40万円未満)、一括償却資産、償却資産申告
更新履歴
- 2026/10/23: 公開(定額法・200%定率法 2〜50年、償却スケジュール、少額資産の判定、仕訳例)
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