報酬・料金の源泉徴収税額の計算方法
個人に支払う報酬・料金のうち、所得税法第204条第1項に掲げるもの(原稿料・デザイン料・講演料、弁護士・税理士・社会保険労務士などの報酬など)は、支払う側が所得税及び復興特別所得税を源泉徴収します。税額は、同じ人に1回に支払う金額で次のように決まります(1円未満切捨て)。
| 支払金額(源泉徴収の対象) | 源泉徴収税額 | 差引支払額 |
|---|---|---|
| 50,000円 | 5,105円 | 44,895円 |
| 100,000円 | 10,210円 | 89,790円 |
| 300,000円 | 30,630円 | 269,370円 |
| 1,000,000円 | 102,100円 | 897,900円 |
| 1,500,000円 | 204,200円 | 1,295,800円 |
司法書士・土地家屋調査士・海事代理士の報酬
司法書士・土地家屋調査士・海事代理士の業務に関する報酬・料金は、1回の支払金額から1万円を引いた残りに10.21%を掛けます(100万円を超えても20.42%にはなりません)。登記の登録免許税など、本来は依頼者が国に納める費用に充てることが明らかな部分は、源泉徴収の対象になりません。
消費税の扱い
報酬・料金に消費税等が含まれている場合、原則は税込の金額が源泉徴収の対象です。ただし、請求書等で報酬・料金の額と消費税等の額が明確に区分されていれば、税抜の金額だけを対象にできます。インボイス制度が始まった後もこの取扱いは変わりません。
例えば報酬 100,000円・消費税 10,000円の請求書なら、税抜で計算すると源泉徴収税額は 10,210円、差引支払額は 99,790円です。区分されていない税込 110,000円で計算すると 11,231円になります。
手取り額から逆算する(グロスアップ)
「手取りで○円」と決めて依頼する場合、100万円以下の部分は手取り額を 0.8979(=1 − 10.21%)で割り戻します。源泉徴収税額は1円未満を切り捨てるため、割り戻した額が1円ずれることがあり、このツールは実際に源泉徴収して手取り額になる最小の金額を求めます。例えば手取り 89,790円なら 99,999円(100,000円でも手取りは同じ)です。
源泉徴収が必要ない場合・納付
- 支払先が法人の場合は、原則として源泉徴収しません(税理士法人・弁護士法人なども対象外)。
- 給与の支払をしていない個人や、常時2人以下の家事使用人だけに給与を支払っている個人が支払う報酬・料金は、源泉徴収しません。
- 懸賞の入選者への賞金や投稿の謝金は、1人に1回5万円以下なら源泉徴収しなくてかまいません。
源泉徴収した税額は、支払った月の翌月10日までに納付します。弁護士・税理士・司法書士などの報酬は納期の特例(7月10日・翌年1月20日)の対象ですが、原稿料・講演料・デザイン料などは対象になりません。令和9年分以後は、所得税・防衛特別所得税・復興特別所得税として源泉徴収します。
よくある質問
100万円を超えるかどうかは何で判定しますか?
同じ人に対して1回に支払う金額で判定します。消費税等を区分した請求書で税抜の金額を対象にする場合は、税抜の金額で判定します。複数回に分けて支払う場合は、それぞれの支払ごとに判定します。
交通費や宿泊費も源泉徴収の対象ですか?
報酬・料金とあわせて支払う交通費・宿泊費は、原則として源泉徴収の対象に含めます。ただし、支払者が交通機関やホテルに直接支払い、その金額が通常必要な範囲であれば含めなくてかまいません。
法人に支払う報酬にも源泉徴収は必要ですか?
原則として必要ありません。所得税法第204条の報酬・料金の源泉徴収は個人に支払うものが対象です(馬主が受ける競馬の賞金など、法人でも対象になる例外があります)。
免税事業者の請求書に消費税相当額が書かれている場合は?
税抜の金額で計算してかまいません。国税庁は、ここでいう請求書等は適格請求書(インボイス)である必要はなく、適格請求書発行事業者以外の事業者の請求書でも、報酬・料金の額と消費税等の額が明確に区分されていれば、報酬・料金の額だけを源泉徴収の対象にできるとしています。
源泉徴収した税額の仕訳は?
支払時は「支払報酬/預り金(源泉所得税)・普通預金」、翌月10日までに納付したときに「預り金/普通預金」とします。預り金の残高は、納付が終わるとゼロになります。
出典
- 国税庁 No.2795 原稿料や講演料等を支払ったとき
- 国税庁 No.2798 弁護士や税理士等に支払う報酬・料金
- 国税庁 No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは
- 国税庁 インボイス制度開始後の報酬・料金等に対する源泉徴収
- 国税庁 令和8年版 源泉徴収のあらまし
- 計算方法の解説(ISZ GROUP): 勘定科目の一覧と仕訳の例 — 領収書の仕訳・会議費と交際費の違い(1人1万円)
- 計算方法の解説(ISZ GROUP): 源泉徴収税額の計算方法(令和8年分)— 給与の月額表・賞与・報酬・退職金
更新履歴
- 2026/10/23: 公開(10.21%・20.42%、手取り額からの逆算、消費税の区分、司法書士等の1万円控除、請求書・仕訳の例)
このツールは公表された算式・料率による一般的な計算で、個別の税務相談に代わるものではありません。料率・税額表は改定されることがあります。実際の申告・納付・給与計算では、国税庁などの最新の資料をご確認のうえ、専門家にご相談ください。計算は入力した端末の中だけで行い、入力内容は送信・保存しません。