年末調整は、扶養控除等(異動)申告書などの申告書を受け取り、1年分の給与で年税額を計算して、毎月の源泉徴収税額との差額を精算する手続です。計算の流れや令和8年分の控除額は 所得税と年末調整の計算方法で説明しました。この記事は、申告書の確認と精算の段階で間違えやすい点を、国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」に沿ってまとめたものです。2026年10月27日時点の法令・資料によります。計算例は手計算し、年末調整の計算ツール・基礎控除申告書・保険料控除申告書の計算ツールと同じ計算エンジンでも確かめています。
令和8年分で変わった点と、事務を始める前の確認
令和8年度税制改正は、原則として令和8年12月1日に施行され、令和8年分の所得税から適用されます。国税庁の「年末調整のしかた」は、次のように注意を促しています。
令和8年 11 月までの給与等の源泉徴収事務に変更は生じません。令和8年分の給与等の源泉徴収事務においては、令和8年 12 月に行う年末調整の際に、上記⑴の引上げ後の基礎控除額及び……「令和8年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」に基づいて1年間の税額を計算し、改正前の「源泉徴収税額表」によって計算した源泉徴収税額との精算を行います。— 国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」4ページ
| 項目 | 令和7年分 | 令和8年分 |
|---|---|---|
| 給与所得控除の最低額 | 65万円 | 74万円 |
| 基礎控除(合計所得489万円以下) | 58万円〜95万円 | 104万円 |
| 扶養親族・同一生計配偶者の所得要件 | 58万円以下(給与収入123万円以下) | 62万円以下(136万円以下) |
| 特定親族(19〜22歳) | 58万円超123万円以下 | 62万円超123万円以下(給与収入136万円超197万円以下) |
| 配偶者特別控除の対象 | 58万円超133万円以下 | 62万円超133万円以下(136万円超207万円以下) |
| 勤労学生の所得要件 | 85万円以下 | 89万円以下(163万円以下) |
| 一般の生命保険料控除(23歳未満の扶養親族がいる場合) | 新契約は最高4万円 | 新契約は最高6万円(令和8・9年分) |
控除額そのものの説明は 基礎控除(令和8年分)と主な所得控除にあります。事務を始める前に、次の3点を確かめておきます。
- 扶養控除等申告書の出し直し: 所得要件が62万円に上がったことで新たに扶養親族などに当たる人(例: 給与収入123万円超136万円以下の家族)は、12月1日以後に支払う給与から適用され、控除を受けるには扶養控除等(異動)申告書などの提出が必要です
- 申告書の様式: 基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼特定親族特別控除申告書兼所得金額調整控除申告書と保険料控除申告書は令和8年分の様式を使います。保険料控除申告書には、23歳未満の扶養親族がいる場合の計算式Ⅱが加わっています
- 給与計算ソフト: 給与所得控除後の給与等の金額の表(収入69万1,000円以上220万円未満の特例を含む)と基礎控除、生命保険料控除の計算式Ⅱに対応しているか。毎月の源泉徴収税額表も令和9年分から改正されるため、2027年1月以後に支払う給与の月額表の更新もあわせて確かめます
23歳未満の扶養親族がいる人の生命保険料控除
令和8年分・令和9年分は、年齢23歳未満の扶養親族がいる人の一般の生命保険料(新生命保険料)の控除額を、次の計算式Ⅱで計算します。介護医療保険料・個人年金保険料は従来どおり計算式Ⅰ(最高4万円)です。
| 計算式Ⅰ(従来・23歳未満の扶養親族なし) | 計算式Ⅱ(23歳未満の扶養親族あり) | ||
|---|---|---|---|
| 年間の新生命保険料 | 控除額 | 年間の新生命保険料 | 控除額 |
| 2万円以下 | 全額 | 3万円以下 | 全額 |
| 2万円超4万円以下 | × 1/2 + 1万円 | 3万円超6万円以下 | × 1/2 + 1万5,000円 |
| 4万円超8万円以下 | × 1/4 + 2万円 | 6万円超12万円以下 | × 1/4 + 3万円 |
| 8万円超 | 一律4万円 | 12万円超 | 一律6万円 |
| 新旧両方を申告する場合の上限: 4万円 | 新旧両方を申告する場合の上限: 6万円 | ||
控除額の1円未満の端数は切り上げます。一般・介護医療・個人年金の合計の上限は、改正後も12万円です。国税庁 No.1140 は「令和8年分以降の申告の場合、新契約に基づく新生命保険料の控除額について、23歳未満の扶養親族を有する場合の控除額は次の表の計算式に当てはめて計算した金額です」としています。
| 確認すること | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 対象年分 | 令和8年分・令和9年分(当初は令和8年分だけで、令和8年度改正で令和9年分まで延長) | 租税特別措置法41条の15の5第1項、国税庁「源泉所得税の改正のあらまし」(令和8年4月) |
| 「扶養親族」の範囲 | 所得税法2条1項34号の扶養親族(年齢の要件はない)。16歳未満の子も含む。合計所得62万円超の子(特定親族など)は含まない | 措法41条の15の5第1項・所得税法2条1項34号 |
| 年齢の判定日 | その年の12月31日の現況(令和8年分は平成16年1月2日以後に生まれた人が23歳未満) | 措法41条の15の5第2項 |
| 区分 | 23歳未満の扶養親族なし | 23歳未満の扶養親族あり |
|---|---|---|
| 一般(新)10万円 | 40,000(一律) | 55,000(10万円 × 1/4 + 3万円) |
| 介護医療 5万円 | 32,500 | 32,500 |
| 個人年金(新)6万円 | 35,000 | 35,000 |
| 合計 | 107,500 | 122,500 → 120,000(上限) |
介護医療: 5万円 × 1/4 + 2万円 = 32,500円。個人年金: 6万円 × 1/4 + 2万円 = 35,000円。特例で一般の生命保険料の控除が15,000円増えますが、合計が12万円で頭打ちになるため、控除額の増加は12,500円です。
| 計算 | 23歳未満の扶養親族なし | 23歳未満の扶養親族あり |
|---|---|---|
| 新生命保険料5万円 | 32,500(計算式Ⅰ) | 40,000(計算式Ⅱ: 5万円 × 1/2 + 1万5,000円) |
| 旧生命保険料8万円(計算式Ⅲ) | 45,000 | 45,000 |
| 新旧の合計(上限) | 77,500 → 40,000 | 85,000 → 60,000 |
| 一般の生命保険料の控除額(大きい方) | 45,000(旧だけで申告) | 60,000(新旧の合計) |
従来は「旧生命保険料が6万円を超えるなら旧だけで申告した方が有利」でしたが、23歳未満の扶養親族がいて新生命保険料もある場合は、新旧の合計(最高6万円)の方が大きくなります(「年末調整のしかた」24ページの注1)。前年の申告書と同じ書き方をすると控除が少なくなるので、保険料控除申告書の計算を確認します。
このほか、国税庁は次の点を挙げています。
- 夫婦の両方が使える: 同じ世帯の夫婦の間に23歳未満の扶養親族である子が1人いる場合、夫婦の両方が特例(計算式Ⅱと最高6万円)を受けられます(同21ページの注意事項7)
- 区分の振替はできない: 新生命保険料を旧生命保険料に含める、新個人年金保険料を介護医療保険料に含めるといった振替はできません
- 証明書類: 旧生命保険料は1契約の保険料が9,000円を超えるものに、新生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料などは金額にかかわらず、証明書類(または電子的控除証明書等)が必要です。交付を請求中の場合は、翌年1月末日までに提出・提示することを条件に控除して年末調整できます
保険料控除申告書の各欄の金額は 保険料控除申告書の計算ツールで、23歳未満の扶養親族の有無を切り替えて確かめられます。
扶養控除等申告書の確認(16歳未満・特定親族・年齢)
扶養控除の区分は、その年の12月31日現在の年齢で判定し、国税庁は生年月日の範囲で示しています。令和8年分は次のとおりです。
| 区分 | 生年月日(令和8年分) | 控除額 |
|---|---|---|
| 16歳未満(年少扶養親族) | 平成23年1月2日以後生 | 扶養控除なし |
| 一般の控除対象扶養親族 | 平成23年1月1日以前生(下の区分を除く) | 38万円 |
| 特定扶養親族(19歳以上23歳未満) | 平成16年1月2日〜平成20年1月1日生 | 63万円 |
| 老人扶養親族(70歳以上) | 昭和32年1月1日以前生 | 48万円(同居老親等 58万円) |
1月1日生まれの人は、12月31日に1つ上の年齢になる点に注意します(平成23年1月1日生まれは令和8年12月31日に16歳)。
16歳未満の子は「住民税に関する事項」に書く
16歳未満の扶養親族は所得税の扶養控除の対象ではありませんが、扶養控除等申告書の「住民税に関する事項」欄の記載事項です。「年末調整のしかた」は内閣官房からのお知らせとして、源泉徴収票(給与支払報告書)の「16歳未満の扶養親族」欄と「16歳未満扶養親族の数」欄にも確実に書くよう求め、この情報が今後「所得に連動したきめ細かな給付」が導入される場合の事務に活用される見込みだとしています。所得税の年税額に関係しないからといって空欄にしないようにします。
特定親族を扶養控除で控除しない
令和7年分から、19歳以上23歳未満の親族で合計所得62万円超123万円以下の人は「特定親族」として特定親族特別控除の対象になりました。国税庁は次のように注意しています。
特定親族(19 ページ参照)は扶養控除や障害者控除の対象となる扶養親族には該当しません。扶養控除等(異動)申告書に「特定親族」と記載されている人を控除対象扶養親族として控除することのないように注意してください。— 国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」11ページ
大学生のアルバイト収入は年末にならないと確定しないため、扶養控除等申告書では特定扶養親族、特定親族特別控除申告書では特定親族と、両方に書かれていることがあります。給与収入136万円以下なら扶養控除(特定扶養親族 63万円)、136万円超197万円以下なら特定親族特別控除(63万円〜3万円)のどちらか一方です。控除額の表は 特定親族特別控除の表を参照してください。
そのほかの確認
- 生計を一にする: 同居は要件ではありません。勤務・修学・療養などで別居していても、常に生活費・学資金などを送金していれば「生計を一にする」として扱われます
- 同居老親等: 病気の治療で入院している場合は同居老親等に当たりますが、老人ホームに入所している場合は当たりません
- 国外に住む親族: 30歳以上70歳未満の非居住者は、留学・障害者・その年に38万円以上の送金のいずれかに当たる人だけが控除対象扶養親族です。年末調整では親族関係書類と送金関係書類の提出・提示が必要です
- 16歳未満の子だけがいる人: 扶養控除はありませんが、生命保険料控除の特例(上の計算式Ⅱ)と所得金額調整控除の「23歳未満の扶養親族」には当たります。扶養控除等申告書の「住民税に関する事項」に書かれた子も見落とさないようにします
配偶者控除は本人の合計所得900万円で変わる
配偶者控除・配偶者特別控除は、配偶者の所得だけでなく本人(給与の支払を受ける人)の合計所得金額で控除額が変わります。基礎控除申告書の「区分Ⅰ」(A・B・C)がこの判定です。
| 本人の合計所得金額(給与だけの場合の収入) | 配偶者控除 | 老人控除対象配偶者 |
|---|---|---|
| 900万円以下(1,095万円以下) | 38万円 | 48万円 |
| 900万円超950万円以下(1,145万円以下) | 26万円 | 32万円 |
| 950万円超1,000万円以下(1,195万円以下) | 13万円 | 16万円 |
| 1,000万円超 | なし | なし |
括弧内の収入は、所得金額調整控除の適用がある場合は15万円を足した額になります(「年末調整のしかた」55ページ)。所得金額調整控除は、給与の収入が850万円を超える人が、本人が特別障害者である場合や、年齢23歳未満の扶養親族・特別障害者である同一生計配偶者や扶養親族がいる場合に、(給与の収入(1,000万円が上限)− 850万円)× 10%(最高15万円)を給与所得から引くものです。
| 計算 | 所得金額調整控除を引かない場合 | 引く場合 |
|---|---|---|
| 給与所得控除後の金額 | 9,050,000 | 9,050,000 |
| 所得金額調整控除((1,000万円 − 850万円) × 10%) | — | 150,000 |
| 本人の合計所得金額 | 9,050,000 | 8,900,000 |
| 区分Ⅰ | B(900万円超950万円以下) | A(900万円以下) |
| 配偶者控除 | 26万円 | 38万円 |
給与所得控除は上限の195万円です(1,100万円 − 195万円 = 905万円)。15歳の子は扶養控除の対象ではありませんが、「年齢23歳未満の扶養親族」には当たるため所得金額調整控除の要件を満たします。所得金額調整控除申告書が出ていないと、配偶者控除が12万円少なくなります。基礎控除はどちらの場合も62万円(合計所得655万円超2,350万円以下)です。
本人・配偶者の合計所得金額は年末調整の時点の見積額です。年末調整の後に見積額と確定額が違って配偶者控除・配偶者特別控除の額が変わる場合は、翌年1月末日までなら年末調整をやり直せます(下の再調整)。
中途入社の人は前職分を合算する
年の途中で入社した人で、前の勤務先に扶養控除等申告書を出して給与を受けていた人は、前職分を含めて年末調整をします。国税庁は次のように書いています。
前職分の給与とその徴収税額については、その人が前の給与の支払者から交付を受けた「給与所得の源泉徴収票」などで確認することになりますが、その確認ができるまではその人の年末調整は見合わせてください。— 国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」36ページ
前職の源泉徴収票から合算するのは、支払金額、源泉徴収税額、社会保険料等の金額の3つです。社会保険料を合算し忘れると、所得控除が少なくなり年税額が多くなります。前の勤務先に扶養控除等申告書を出さずに受けた給与(乙欄の給与)は合算しません。退職手当は給与所得ではなく退職所得なので、「退職所得の源泉徴収票」の金額も年末調整の集計に入れません。
| 項目 | 前職(1〜5月) | 当社(6〜12月) | 合計 |
|---|---|---|---|
| 給与の支払金額 | 1,500,000 | 2,800,000 | 4,300,000 |
| 源泉徴収税額 | 30,000 | 50,000 | 80,000 |
| 社会保険料 | 220,000 | 410,000 | 630,000 |
- 給与所得: 4,300,000円 → 給与所得控除後の金額の表で 3,000,000円(4,300,000 × 80% − 440,000 と同じ)
- 所得控除: 社会保険料 630,000円 + 基礎控除 1,040,000円 = 1,670,000円
- 課税給与所得金額: 3,000,000 − 1,670,000 = 1,330,000円 → 算出所得税額 66,500円(5%)
- 年調年税額: 66,500 × 102.1% = 67,896.5円 → 100円未満切捨て 67,800円
- 過不足: 80,000 − 67,800 = 12,200円を還付
当社分だけで計算すると、給与所得1,880,000円・課税給与所得金額430,000円で年調年税額は21,900円となり、当社の源泉徴収税額50,000円から28,100円を還付することになります。正しい還付額との差は15,900円で、本人は確定申告で追加の納税が必要になります。源泉徴収票の「支払金額」「源泉徴収税額」「社会保険料等の金額」は前職分を含めた金額で作り、「摘要」欄に前の支払者の住所・名称、退職した年月日、前職分の給与の金額・徴収税額・社会保険料の金額を書きます(国税庁「令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」)。
前職の源泉徴収票が届かず年末調整ができない場合は、当社分の源泉徴収票を交付し、本人が確定申告で精算します。「年末調整のしかた」は、年末調整の対象とならない人には確定申告書を提出するよう指導することとしています。
対象になる人・行う時期の間違い
年末調整は、扶養控除等申告書を出している人の全員について行うのが原則です。次の人は対象になりません。
| 年末調整の対象にならない人 | 確認のポイント |
|---|---|
| 本年中の主たる給与の収入金額が2,000万円を超える人 | 賞与を含めた1年間の給与の総額で判定(所得税法190条)。速算表の注にある「課税給与所得金額が1,805万円を超える場合」も、給与の収入2,000万円超と同じ線です |
| 2か所以上から給与を受け、ほかに扶養控除等申告書を出している人(乙欄) | 年末調整を行う時までに申告書を出していない人も同じ |
| 年の途中で退職した人(下の例外を除く) | 退職者には源泉徴収票を交付し、確定申告で精算 |
| 非居住者(国内に住所も1年以上の居所もない人) | 外国人でも、国内に住所があるか1年以上居所があれば居住者として対象。年の途中で海外転勤などで非居住者になった人は、その時に年末調整する |
| 継続して同じ雇用主に雇用されない日雇労働者など(日額表の丙欄) | — |
| 災害減免法で源泉所得税の徴収猶予・還付を受けた人 | — |
年の途中の退職者でも、死亡退職、著しい心身の障害で年内に再就職できない見込みの人、12月中に支給期の到来する給与を受けた後に退職した人、パートなどで年内の給与総額が136万円以下の人(年内に他から給与を受ける見込みがない場合)は、退職の時に年末調整をします。令和8年分はこのパートの基準も136万円です。
行う時期と集計の範囲
- 本年最後の給与の支払の時に行います。12月に給与と賞与を支払い、賞与を先に支払う場合は、賞与の支払の時に、後で支払う給与の見積額と見積税額を加えて年末調整してもかまいません。給与の実際の支給額が見積額と違えばやり直します
- 未払給与: 本年中に支給日が到来して支払が確定した給与は、未払でも本年の年末調整の対象です。逆に、前年分の未払給与を本年に支払ったものは含めません
- 12月支給の給与の基準: 支給日で判定します。12月分の給与を翌年1月に支払う会社は、その給与は翌年分です
- 現物給与: 課税される食事の支給や保険料の会社負担などは、給与の総額と徴収税額に含めます。会社が負担した保険料で給与として課税されるものは、本人が支払った保険料として控除の対象にもなります
賞与の源泉徴収や社会保険料の計算は 賞与の源泉徴収と社会保険料で説明しています。
過不足の精算と納付書(所得税徴収高計算書)の書き方
年調年税額と毎月の源泉徴収税額の合計を比べ、源泉徴収税額の方が多ければ過納額を還付し、少なければ不足額を徴収します。
| 場合 | 処理 |
|---|---|
| 過納額(還付) | 年末調整をした月分(通常12月分。納期の特例の承認を受けていれば7〜12月分)として納付する源泉所得税(給与・退職手当・税理士等の報酬)から差し引いて還付。引ききれなければ翌月以後の納付分から順に差し引く |
| 会社の源泉所得税では還付しきれない | 解散・廃業、納付する税額がなくなった場合、還付することとなった日の翌月から2か月を経過しても還付しきれない見込みの場合は、「年末調整過納額還付請求書 兼 残存過納額明細書」で税務署から還付 |
| 不足額(徴収) | 年末調整をする月分の給与から徴収し、残れば以後の給与から徴収 |
| 不足額が多い | その月の税引手取額が1〜11月(年末調整の前月まで)の税引手取給与の平均月額の70%未満となる人は、「年末調整による不足額徴収繰延承認申請書」の承認を受けて翌年1月・2月に繰り延べられる。繰り延べられるのは、年末調整をする月の給与も通常どおり税額を計算したうえでなお不足する額だけなので、本年最後の給与の税額計算を省略する方法は使えない |
精算の内容は、年末調整をした月分の納付書(所得税徴収高計算書)の「年末調整による超過税額」または「年末調整による不足税額」欄に、その月に実際に精算した金額を書きます。12月に還付しきれず1月に繰り越した分は、1月分の納付書に書きます。過納額の還付で納付する税額が0円になった場合も、「本税」欄を0として納付書を税務署に提出します。
計算例4の従業員。12月の給与 300,000円、社会保険料 45,000円。本年最後の給与の税額計算を省略する方法(12月の給与の徴収税額は0円として精算)で、過納額12,200円を還付した。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 給料手当 | 300,000 | 預り金(社会保険料) | 45,000 |
| 預り金(源泉所得税) | 12,200 | 普通預金 | 267,200 |
還付した12,200円は、12月分として納付する源泉所得税(ほかの従業員の給与や税理士報酬などから徴収した分)から差し引くので、預り金(源泉所得税)の借方に記帳します。12月の給与も通常どおり税額を計算する方法では、その月の税額を超過額から差し引いた残りを還付します(「年末調整のしかた」40ページ)。
12月分の納付期限は翌年1月10日(納期の特例は1月20日)で、休日に当たれば休日明けの日です。2027年は1月10日が日曜日、11日が成人の日のため、1月12日(火)が期限です(納期の特例の1月20日は水曜日)。源泉所得税の納期の特例と1月の期限の一覧もあわせて確認してください。
年末調整の後の再調整(翌年1月末日まで)
年末調整の後に事情が変わった場合、源泉徴収票を交付する翌年1月末日までであれば、年末調整をやり直せます。
この年末調整のやり直しができるのは、「給与所得の源泉徴収票」を受給者に交付することとなる翌年1月末日までです。— 国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」43ページ
| 年末調整の後に起きたこと | 扱い |
|---|---|
| 本年中に本年分の給与を追加で支払った | 追加支給額を加えてやり直す(翌年に遡って改定した差額は改定した年分の所得で、やり直しは不要) |
| 子の結婚などで扶養親族の数が変わった、本人が障害者になった | 異動の申告を受けてやり直せる |
| 配偶者・本人・特定親族の合計所得金額の見積額と確定額が違った | 配偶者控除・配偶者特別控除・特定親族特別控除の額が変わるならやり直せる |
| 本年中に生命保険料などを支払った | 保険料控除申告書の申告を受けてやり直せる |
| 住宅借入金等特別控除申告書が後から出された | やり直せる |
| 翌年1月末日までに出すことを条件にした証明書類が出されなかった | その保険料を除いてやり直し、不足額を徴収する |
住宅借入金等特別控除は、最初の年分は本人の確定申告で受け、2年目以後の年分を年末調整で控除します。本年に住宅を取得した人から控除の相談があれば、確定申告が必要なことを伝えます。年末調整で控除しきれなかった額は、源泉徴収票の「住宅借入金等特別控除可能額」欄に書きます。
1月末日を過ぎて控除漏れが分かった場合は、本人が確定申告(還付申告)で控除を受けます。還付申告書は、その年の翌年1月1日から5年間提出できます(国税庁 No.2030)。なお、令和8年分の源泉徴収票の受給者への交付期限は、1月31日が日曜日のため2027年2月1日です(法定調書の作成と提出の手引)。
再調整した場合は、源泉徴収票と給与支払報告書もやり直した後の金額で作ります。令和8年分からは、給与支払報告書を市区町村に提出すれば源泉徴収票は税務署に提出したものとみなされます(源泉徴収票のみなし提出)。受給者交付用の源泉徴収票は 源泉徴収票の作成ツールで作れます。
年末調整の前の最終チェック
- 令和8年分の様式の申告書を、扶養控除等申告書を出している全員から受け取ったか
- 23歳未満の扶養親族がいる人の生命保険料控除を計算式Ⅱで計算したか(新旧両方なら最高6万円)
- 16歳未満の扶養親族を「住民税に関する事項」と源泉徴収票の欄に書いたか。特定親族を扶養控除に入れていないか
- 給与の収入850万円超の人の所得金額調整控除と、配偶者控除の区分Ⅰ(本人の合計所得)を確認したか
- 中途入社の人の前職分(支払金額・源泉徴収税額・社会保険料)を合算したか
- 給与の収入2,000万円超の人を対象から外したか
- 精算額を納付書の「年末調整による超過税額・不足税額」欄に書いたか
控除の対象になるかどうか(生計を一にしているか、障害者に当たるか、国外居住親族の書類が足りるかなど)は、個別の事情で判断が分かれることがあります。迷うときは税理士に確認してください。
この記事の計算ができる無料ツール
ISZ™ 仕訳AI では
ISZ™ 仕訳AI は、給与計算から年末調整・源泉徴収票の作成まで同じ画面で行えます。
- 令和8年分の給与所得控除後の給与等の金額の表・基礎控除・生命保険料控除の計算式Ⅱによる年税額の計算
- 生年月日から扶養控除の区分(16歳未満・特定扶養親族・老人扶養親族)を判定し、生年月日のない扶養親族は確定前に注意を表示
- 国外居住親族の書類(親族関係書類・送金関係書類)の有無を入力し、書類が足りない場合に控除の対象外として注意を表示
- 過不足額の精算と、源泉所得税の納付期限(1月10日・納期の特例は1月20日)を含む年間予定
扶養親族に当たるかどうかなどの判断と年末調整の確定は、税理士・経理担当者が行います。無料登録(メールアドレスの確認)で証憑100枚まで無料で試せます(クレジットカード不要)。
よくある質問
令和8年分の生命保険料控除は何が変わりましたか?
年齢23歳未満の扶養親族がいる人は、一般の生命保険料のうち新生命保険料の控除額を新しい計算式(3万円以下は全額、12万円超は一律6万円)で計算し、新旧両方を申告する場合の上限も6万円になりました。介護医療保険料・個人年金保険料の計算と、合計の上限12万円は変わりません。令和8年分・令和9年分の特例です。
旧生命保険料が8万円、新生命保険料が5万円の場合、どちらで申告しますか?
23歳未満の扶養親族がいなければ、旧だけの45,000円が新旧合計の上限4万円より大きいので旧だけで申告します。23歳未満の扶養親族がいれば、新旧の合計(40,000円+45,000円)が上限6万円まで認められるため、60,000円になります。
16歳未満の子は年末調整の申告書に書く必要がありますか?
所得税の扶養控除の対象ではありませんが、扶養控除等(異動)申告書の「住民税に関する事項」欄の記載事項です。源泉徴収票(給与支払報告書)の「16歳未満の扶養親族」欄にも書きます。
中途入社の人の前職の源泉徴収票が届きません。どうすればよいですか?
前職分の給与と徴収税額が確認できるまでは年末調整を見合わせることとされています。年末までに確認できなければ年末調整をせず、当社分の源泉徴収票を交付して、本人が確定申告で精算します。
年末調整の後に、配偶者の所得が見積額より多いことが分かりました。
配偶者控除・配偶者特別控除の額が変わる場合、源泉徴収票を交付する翌年1月末日までなら年末調整をやり直せます。やり直した後の金額で源泉徴収票と給与支払報告書を作ります。
年末調整の還付金は会社の資金から出すのですか?
年末調整をした月分(通常12月分)として納付する源泉所得税から差し引いて還付します。引ききれなければ翌月以後の納付分から順に差し引き、それでも長期間還付しきれない見込みなどの場合は、過納額還付請求書で税務署から還付を受けます。
出典
- 国税庁 令和8年分 年末調整のしかた(3〜6・11・17・21〜26・35〜43・55〜56ページ)
- 国税庁 タックスアンサー No.1140 生命保険料控除(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 タックスアンサー No.2665 年末調整の対象となる人
- 国税庁 年末調整がよくわかるページ
- 国税庁 令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について
- 国税庁 令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし PDF
- 国税庁 令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引(給与所得の源泉徴収票)PDF
- 国税庁 タックスアンサー No.2030 還付申告
- e-Gov法令検索 租税特別措置法(第41条の15の5 年齢23歳未満の扶養親族を有する場合の生命保険料控除の特例)
- e-Gov法令検索 所得税法(第2条第1項第34号・第190条・第226条)
更新履歴
- 2026/10/27: 公開
この記事は公表された法令・通達・国税庁などの資料にもとづく一般的な解説で、個別の税務相談に代わるものではありません。制度・料率は改定されることがあります。実際の申告・納付・給与計算では最新の資料をご確認のうえ、専門家にご相談ください。