消費税の一般課税では、売上の税額から仕入の税額を差し引いて納める額を計算します。ただし、土地の売却や住宅の家賃、受取利息など非課税の売上がある会社は、仕入の税額の一部しか控除できない年があります。この記事は、2026年11月2日時点の消費税法・同施行令・消費税法基本通達と国税庁の資料で、個別対応方式と一括比例配分方式の使い分け、課税売上割合の計算、選んだ方式の継続の制限を、計算例でまとめたものです。全額控除の場合の納付税額の計算は 消費税の計算方法(一般課税)、仕入税額の積上げ・割戻しの計算は 積上げ計算と割戻し計算の違いで説明しています。
全額控除できない場合(95%・5億円)と2つの方式
消費税法30条2項は、全額控除できない場合を次のように定めています。
前項の場合において、同項に規定する課税期間における課税売上高が五億円を超えるとき、又は当該課税期間における課税売上割合が百分の九十五に満たないときは、(中略)次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める方法により計算した金額とする。— 消費税法30条2項(e-Gov 法令検索)
| 課税期間の状況 | 控除できる仕入税額 | 付表2-3 の欄 |
|---|---|---|
| 課税売上高5億円以下 かつ 課税売上割合95%以上 | 全額 | ⑱ |
| 課税売上高5億円超 または 課税売上割合95%未満 | 個別対応方式: 課税売上げにのみ要する税額 + 共通して要する税額 × 課税売上割合 | ⑲・⑳・㉑ |
| 一括比例配分方式: 課税仕入れ等の税額の合計額 × 課税売上割合 | ㉒ |
ここでいう課税売上高は、課税売上(税抜)と輸出免税売上の合計です(国税庁「申告書(一般用)の書き方」p16)。課税期間が1年に満たない場合は、その課税期間の月数(1月未満の端数は1月)で割って12を掛けた額で5億円を判定します(消費税法30条6項・消費税法基本通達11-5-10)。課税事業者の設立1期目が6か月で課税売上高3億円なら、年換算6億円で5億円を超えます。
国税庁のタックスアンサー No.6401 は、個別対応方式を使える条件を次のように書いています。
この方式は上記の区分がされている場合に限り、採用することができます。— 国税庁 タックスアンサー No.6401「仕入控除税額の計算方法」(令和8年4月1日現在法令等)
区分ができていても、一括比例配分方式を選ぶことはできます(消費税法30条4項)。届出は要らず、課税期間ごとに申告書(付表2-3)でどちらかを使います。逆に、区分ができていなければ一括比例配分方式しか使えません。どちらの方式でも、計算は税率ごとに行います。簡易課税や2割特例で申告する事業者には、この計算はありません(2割特例の後にどの方式を選ぶかは 2割特例の終了後の選び方)。
課税売上割合の計算:分母と分子、有価証券の5%、端数
分母・分子の範囲は消費税法施行令48条で決まっています。実務でよく出るものを整理すると次のとおりです。
| 取引 | 分子(課税) | 分母(総売上) | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 国内の課税売上(税抜) | 入れる | 入れる | 消法30条6項 |
| 輸出免税売上 | 入れる | 入れる | TA No.6405、消基通11-5-4 |
| 土地の譲渡・住宅の貸付けなどの非課税売上 | 入れない | 入れる | 消令48条1項 |
| 受取利息(貸付金・預金の利子) | 入れない | 利子の額を入れる | 消令48条4項 |
| 株式などの有価証券、貸付金などの金銭債権の譲渡 | 入れない | 対価の5%を入れる | 消令48条5項 |
| 売掛金など、資産の譲渡等の対価として取得した金銭債権の譲渡 | 入れない | 入れない | 消令48条2項2号 |
| 国外で行う取引 | 入れない | 入れない | 消基通11-5-4 |
| 支払手段・暗号資産・電子決済手段の譲渡 | 入れない | 入れない | 消令48条2項1号 |
| 受取配当金・保険金・補助金など、資産の譲渡等に当たらないもの(不課税) | 入れない | 入れない | 消法30条6項、TA No.6405(「不課税取引」は含まない) |
| 貸倒れになった売上 | 分子・分母とも含めたまま | TA No.6405 | |
有価証券の扱いについて、国税庁 No.6405 は次のように説明しています。
総売上高に加える特定の有価証券等および貸付金、預金、売掛金その他の金銭債権(資産の譲渡等の対価として取得したものを除きます。) の譲渡対価の額は、その譲渡対価の額の5パーセントに相当する金額とされています。— 国税庁 タックスアンサー No.6405「課税売上割合の計算方法」(令和8年4月1日現在法令等)
課税売上割合は会社全体で1つです。事業所や事業部ごとに計算することはできません(消基通11-5-1)。端数は原則として処理しませんが、任意の位以下を切り捨てることは認められています(消基通11-5-6)。国税庁の質疑応答事例「課税売上割合の端数処理」は、94.856…%を四捨五入して95%とすることは「認められません」としています。端数処理の全体は 税金・社会保険料の端数処理(消費税)にまとめています。
課税売上(税抜)3億円、受取利息20万円、上場株式の売却5,000万円、土地の売却1億円の会社。
株式の売却は5%の250万円だけを分母に入れます。土地の売却がなければ 300,000,000 ÷ 302,700,000 = 99.1080…%で、全額控除できる年でした。土地の売却は対価の全額が分母に入るため、1回の売却で割合が大きく下がります(対策は後の準ずる割合)。
個別対応方式の用途区分:3つの区分と判定の時期
個別対応方式では、課税仕入れを一つずつ次の3つに分けます。
| 区分 | 例(消費税法基本通達) | 控除 |
|---|---|---|
| 課税売上げにのみ要するもの | 販売用の商品の仕入、課税資産の製造用の原材料、課税資産に係る倉庫料・運送費・広告宣伝費・支払手数料(11-2-10) | 全額 |
| 非課税売上げにのみ要するもの | 販売用の土地の造成、賃貸用住宅の建築(11-2-15) | 0 |
| 共通して要するもの | 本社の家賃・水道光熱費・事務用品など。株券の発行の印刷費・引受手数料のように資産の譲渡等に当たらない取引に要するものもここ(11-2-16) | × 課税売上割合 |
区分のしかたについて、通達11-2-18 は次のように書いています。
個々の課税仕入れ等について、必ず、課税資産の譲渡等にのみ要するもの、その他の資産の譲渡等にのみ要するもの及び(中略)共通して要するものとに区分しなければならない。したがって、例えば、課税仕入れ等の中から課税資産の譲渡等にのみ要するものを抽出し、それ以外のものを全て(中略)共通して要するものに該当するものとして区分することは認められないのであるから留意する。— 消費税法基本通達11-2-18(国税庁)
- 判定の時期: 課税仕入れを行った日の状況で区分します。その日に区分が決まっていなくても、課税期間の末日までに明らかになれば、その区分で計算できます(11-2-20)
- 売上が後の期でもよい: 課税売上げにのみ要するものは、その課税期間に対応する売上があったかどうかを問いません(11-2-10)。翌期に売る商品の仕入も、仕入れた期の「課税売上げにのみ要するもの」です
- 共通のものを合理的に分ける: 原材料・包装材料・倉庫料・電力料などで、生産実績などの合理的な基準で課税用と非課税用に分けられるものは、分けた区分で計算できます(11-2-19)
会計ソフトでは、課税仕入れの税区分を「課税売上対応」「非課税売上対応」「共通対応」の3つに分けて入力しておくと、期末に付表2-3 の⑲・⑳を集計できます。科目だけで決まらない取引(同じ「修繕費」でも店舗用と賃貸住宅用がある、など)は、仕訳のときに区分を選びます。
どちらが有利か:比べ方の式と計算例
課税売上げにのみ要する税額を A、非課税売上げにのみ要する税額を B、共通して要する税額を C、課税売上割合を r とすると、
共通して要する税額 C は、どちらの方式でも同じ額(C × r)になるので比べる必要はありません。課税売上げにのみ要する仕入が多い会社は個別対応方式、非課税売上げにのみ要する仕入が多い会社は一括比例配分方式の方が控除額は多くなります。
課税売上(税抜)1億8,000万円、住宅家賃(非課税)2,000万円、受取利息10万円。課税仕入れ等の税額(国税、税率10%分)は、課税売上げにのみ要するもの 800万円、非課税売上げにのみ要するもの(賃貸住宅の修繕など)100万円、共通して要するもの 200万円。
1円未満は切り捨てています(付表2-3 の㉑・㉒)。この年は一括比例配分方式の方が95,952円多く控除できます。式で確かめると、A ×(1 − r)= 約80万円に対して B × r = 約90万円で、B × r の方が大きいためです。
付表2-3 では、個別対応方式なら課税売上げにのみ要する税額を⑲、共通して要する税額を⑳に書き、㉑〔⑲ +(⑳ × ④/⑦)〕で計算します。一括比例配分方式は㉒(⑰ × ④/⑦)です。④/⑦ は課税売上割合(⑧)の端数を切り捨てる前の分数で計算します。
課税売上(税抜)6億円、受取利息など300万円で課税売上割合 99.5025…%。課税売上げにのみ要する税額 3,000万円、共通して要する税額 100万円(非課税売上げにのみ要するものはなし)。
課税売上割合が95%以上でも、5億円を超えれば全額は控除できません。課税仕入れのほとんどが課税売上げにのみ要するものなら、個別対応方式で全額に近い額を控除できます。
一括比例配分方式の2年継続
一括比例配分方式には、継続の制限があります。
(前略)第二項第二号に定める方法により計算することとした事業者は、当該方法により計算することとした課税期間の初日から同日以後二年を経過する日までの間に開始する各課税期間において当該方法を継続して適用した後の課税期間でなければ、同項第一号に定める方法により計算することは、できないものとする。— 消費税法30条5項(e-Gov 法令検索)
個別対応方式から一括比例配分方式へは、いつでも変えられます。制限は一括比例配分方式から個別対応方式に戻るときだけです。翌期に課税売上割合が95%以上(かつ5億円以下)になって全額控除した場合も、一括比例配分方式を継続したことになります(消基通11-2-21)。
2026年3月期(2025年4月1日〜2026年3月31日)に一括比例配分方式を選んだ。2027年3月期は店舗の改装で、課税売上げにのみ要する税額が2,000万円に増えた(非課税売上げにのみ要するもの100万円、共通200万円、課税売上割合は前期と同じ)。
一括比例配分方式を適用した課税期間の初日(2025年4月1日)から2年を経過する日(2027年3月31日)までに開始する課税期間は、2027年3月期を含みます。そのため2027年3月期も一括比例配分方式で、個別対応方式なら控除できた1,109,445円を控除できません。個別対応方式に戻せるのは、2027年4月1日に始まる2028年3月期からです。
前期の比較で一括比例配分方式が少し有利だったという理由だけで選ぶと、翌期の設備投資で大きく不利になることがあります。一括比例配分方式を選ぶ前に、翌期の設備投資・仕入の予定を確かめます。用途区分を記録してあれば、申告のときに両方を計算して比べられます。
課税売上割合に準ずる割合:土地をたまたま売った年
個別対応方式の「共通して要する税額」には、課税売上割合の代わりに、税務署長の承認を受けた課税売上割合に準ずる割合を使えます(消費税法30条3項)。使用人の数や従事日数の割合、使用面積の割合など、共通して要するものの性質に応じた合理的な割合です(消基通11-5-7)。
- 承認の時期: 適用したい課税期間の末日までに承認申請書を出し、末日の翌日から1月を経過する日までに承認を受ければ、その課税期間の末日に承認があったものとみなされます(消費税法施行令47条6項、TA No.6417)。1月以内に承認が出なければこのみなしは使えないので、期末を待たずに申請します
- 使えるのは個別対応方式の共通分だけ: 一括比例配分方式には使えません(TA No.6401)
- 95%の判定は本来の割合: 承認を受けていても、95%以上かどうかは本来の課税売上割合で判定します(消基通11-5-9)
- 事業・費用・事業場ごとに分けてもよい: その場合は使う割合の全部について承認が必要です(消基通11-5-8)
土地をたまたま売った年について、国税庁の質疑応答事例は次の取扱いを示しています。
土地の譲渡が単発のものであり、かつ、当該土地の譲渡がなかったとした場合には、事業の実態に変動がないと認められる場合に限り、次の①又は②の割合のいずれか低い割合により課税売上割合に準ずる割合の承認を与えることとして差し支えないこととします。— 国税庁 質疑応答事例「たまたま土地の譲渡があった場合の課税売上割合に準ずる割合の承認」(令和7年8月1日現在の法令・通達等)
①は土地の譲渡があった課税期間の前3年に含まれる課税期間の通算課税売上割合、②は前課税期間の課税売上割合です。「事業の実態に変動がない」は、過去3年間で最も高い課税売上割合と最も低い課税売上割合の差が5%以内である場合とされています(同事例の注1)。承認を受けた翌課税期間には「消費税課税売上割合に準ずる割合の不適用届出書」を出します。出さなければ、翌課税期間以後の承認は取り消されます(注3)。
課税売上割合 74.4971…%。前3年の通算課税売上割合 98.8%、前期の課税売上割合 99.1%とすると、準ずる割合は低い方の98.8%。課税売上げにのみ要する税額 2,000万円、共通して要する税額 300万円、土地の売却の仲介手数料に係る課税仕入れ等の税額(非課税売上げにのみ要するもの)30万円。
差は729,086円です。本来の課税売上割合は95%未満のままなので、全額控除にはなりません。仲介手数料の税額30万円は、承認があってもなくても控除できません。
調整対象固定資産と居住用賃貸建物
課税売上割合で控除額を決めた固定資産は、その後3年間の割合の動きで控除額を調整することがあります。
| 制度 | 対象 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 課税売上割合が著しく変動した場合の調整 | 調整対象固定資産(税抜で一取引単位100万円以上の建物・機械・備品など)を第三年度の課税期間の末日に持っている | 仕入れた課税期間の課税売上割合と3年間の通算課税売上割合を比べ、変動率50%以上かつ変動差5%以上なら第三年度に加算・減算(付表2-3 ㉓) | 消法33条、消令5条・53条、TA No.6421 |
| 転用の調整 | 個別対応方式で課税用(非課税用)に区分した調整対象固定資産を3年以内に非課税用(課税用)に転用 | 1年以内は全額、2年以内は3分の2、3年以内は3分の1を減算・加算(付表2-3 ㉔) | 消法34条・35条 |
| 居住用賃貸建物 | 住宅の貸付けに使わないことが明らかな建物以外の建物で、高額特定資産(税抜1,000万円以上)など | 個別対応方式・一括比例配分方式のどちらでも仕入税額控除の対象外 | 消法30条10項、消令25条の5 |
第三年度の課税期間は、仕入れた課税期間の開始の日から3年を経過する日の属する課税期間です(消費税法33条2項)。それまでに除却・譲渡した資産は調整しません(TA No.6421)。全額控除だった年に取得した資産も、比例配分法で計算したものとして著しい変動の調整の対象になります。
実務で間違えやすい点
- 土地を売った年に95%の判定を忘れる: いつも全額控除の会社でも、土地の売却は対価の全額が分母に入ります。計算例1のように、1回で74%台に下がることがあります
- 課税売上割合を四捨五入する: 94.9%を95%にはできません。切り捨てるか、端数を処理しないで計算します
- 有価証券の売却額を全額分母に入れる: 株式・社債などの譲渡は対価の5%です。売掛金など売上の対価として取得した債権の譲渡は分母に入れません
- 「課税対応以外は全部共通」にする: 通達11-2-18 は認めていません。非課税売上げにのみ要するもの(賃貸住宅の修繕、土地の売却の仲介手数料など)も区分します
- 一括比例配分方式を毎年選び直せると思う: 2年間は個別対応方式に戻れません。翌期の設備投資の予定を確かめてから選びます
- 準ずる割合で95%以上と判定する: 95%の判定は本来の課税売上割合です。準ずる割合は個別対応方式の共通分の計算だけに使います
- 準ずる割合の不適用届出書を出し忘れる: たまたま土地を売った年の承認は、その課税期間だけの扱いです。翌課税期間に不適用届出書を出します
- 5億円を年換算しない: 設立1期目や決算期の変更で1年未満の課税期間は、月数で割って12を掛けて判定します
用途区分の判断、どちらの方式で申告するか、準ずる割合の申請をするかは、取引の実態と数年分の見込みを踏まえて税理士・経理担当者が判断する事項です。
計算例は税率10%の課税仕入れだけで計算しています。軽減税率の課税仕入れがある場合は、税率ごとに同じ計算をします。インボイスのない仕入は、経過措置の控除割合(2026年10月1日以後は70%)を掛けた後の税額で計算します(経過措置70%の仕訳例)。
次に読む記事は、2割特例・簡易課税と一般課税を比べる 2割特例の終了後の選び方と、仕入税額そのものの計算を扱う 積上げ計算と割戻し計算の違いです。納付税額の目安は 消費税の計算方法の比較ツールで確かめられます(課税売上割合が95%未満の場合は、控除できる額にしてから入力します)。
この記事の計算ができる無料ツール
ISZ™ 仕訳AI では
ISZ™ 仕訳AI は、領収書・請求書の読み取りから作った仕訳をもとに、1年分の帳簿から消費税の申告書(付表2-3 を含む)と e-Tax 用データの下書きを作ります。
- 課税売上割合の計算(輸出免税・非課税売上を区分)と、95%・5億円(1年未満は年換算)の判定
- 課税仕入れの用途区分(課税売上対応・非課税売上対応・共通対応)を仕訳ごとに記録し、個別対応方式と一括比例配分方式の両方を計算
- 一括比例配分方式を申告した課税期間を記録し、2年継続の期間を表示
- 弥生・freee・マネーフォワード・JDL・TKC・PCA・勘定奉行など16の会計ソフトの取込形式で書き出し
用途区分やどちらの方式で申告するかは、税理士・経理担当者が確認して確定します。会計・申告・帳簿の機能は無料(期限なし)。AIの機能には有効なAI枠が必要で、登録でAI枠100枚つき(1か月有効)・クレジットカード不要。
よくある質問
課税売上割合が95%以上なら、必ず仕入税額を全額控除できますか?
課税売上高が5億円以下の場合に限ります。5億円を超える課税期間は、課税売上割合が95%以上でも個別対応方式か一括比例配分方式で計算します(消費税法30条2項)。課税期間が1年未満なら課税売上高を年換算して判定します。
課税売上割合の端数は四捨五入してもよいですか?
できません。端数は原則として処理せず、任意の位以下を切り捨てることだけが認められています(消費税法基本通達11-5-6)。国税庁の質疑応答事例も、94.856…%を四捨五入して95%とすることは認められないとしています。
株式を売却した場合、課税売上割合の分母にいくら入れますか?
譲渡対価の5%です(消費税法施行令48条5項)。5,000万円で売却したなら250万円を分母に入れます。貸付金などの金銭債権の譲渡も5%ですが、売掛金など資産の譲渡等の対価として取得した金銭債権の譲渡は分母に入れません。
個別対応方式と一括比例配分方式は、どちらが有利ですか?
仕入の構成で決まります。課税売上げにのみ要する税額を A、非課税売上げにのみ要する税額を B、課税売上割合を r とすると、A ×(1 − r)が B × r より大きければ個別対応方式の方が控除額は多くなります。共通して要する税額はどちらの方式でも同じです。
一括比例配分方式から個別対応方式に変えられるのはいつですか?
一括比例配分方式を適用した課税期間の初日から2年を経過する日までに開始する課税期間は、一括比例配分方式を続けます(消費税法30条5項)。3月決算で2026年3月期に適用したなら、2027年3月期も一括比例配分方式で、2028年3月期から個別対応方式にできます。
土地を売って課税売上割合が下がった年は、どうすればよいですか?
土地の譲渡が単発で、事業の実態に変動がない場合は、前3年の通算課税売上割合と前期の課税売上割合の低い方で、課税売上割合に準ずる割合の承認を受けられる取扱いがあります(国税庁 質疑応答事例)。課税期間の末日までに申請し、末日の翌日から1月を経過する日までに承認を受ければ、その課税期間から使えます。翌課税期間には不適用届出書を出します。使えるのは個別対応方式の共通分だけです。
課税売上割合に準ずる割合の承認を受ければ、95%以上として全額控除できますか?
できません。95%以上かどうかは、承認の有無にかかわらず本来の課税売上割合で判定します(消費税法基本通達11-5-9)。準ずる割合は、個別対応方式の共通して要する税額の計算に使うだけです。
出典
- e-Gov 法令検索 消費税法(30条2項〜6項・10項、31条、33条〜35条)
- e-Gov 法令検索 消費税法施行令(5条・25条の5・47条・48条・51条・53条)
- 国税庁 タックスアンサー No.6401 仕入控除税額の計算方法
- 国税庁 タックスアンサー No.6405 課税売上割合の計算方法
- 国税庁 タックスアンサー No.6417 課税売上割合に準ずる割合
- 国税庁 タックスアンサー No.6421 課税売上割合が著しく変動したときの調整
- 国税庁 消費税法基本通達 第11章第2節 課税仕入れの範囲(11-2-10〜11-2-21)
- 国税庁 消費税法基本通達 第11章第5節 課税売上割合の計算等(11-5-1〜11-5-10)
- 国税庁 質疑応答事例 たまたま土地の譲渡があった場合の課税売上割合に準ずる割合の承認
- 国税庁 質疑応答事例 課税売上割合の端数処理
- 国税庁 法人用 消費税及び地方消費税の申告書(一般用)の書き方(令和7年11月作成)付表2-3
更新履歴
- 2026/11/02: 公開
この記事は公表された法令・通達・国税庁などの資料にもとづく一般的な解説で、個別の税務相談に代わるものではありません。制度・料率は改定されることがあります。実際の申告・納付・給与計算では最新の資料をご確認のうえ、専門家にご相談ください。