この記事は2026年11月7日時点で、国税庁の「法人事業概況説明書(令和6年3月1日以後終了事業年度分)」の様式と「法人事業概況説明書の記載要領」をもとに、記載要領が特に説明している欄と、実務で書き方が分かれやすい欄をまとめたものです。申告書一式の中での位置づけと作る順番は 法人税申告書の作り方、もう一つの添付書類である内訳書は 勘定科目内訳明細書の書き方で説明しています。
法人事業概況説明書とは:根拠・様式・使う法人
法人税の確定申告書には、貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・勘定科目内訳明細書と並んで、「当該内国法人の事業等の概況に関する書類」を添付します(法人税法施行規則35条5号。完全支配関係がある法人があれば出資関係図も含みます)。税務署所管の法人がこの書類として使う様式が、法人事業概況説明書です。国税局の調査課が所管する法人は、別の様式の「会社事業概況書」を使います。
| 事業年度の終了日 | 使う様式 | 主な変更点 |
|---|---|---|
| 令和3年4月1日〜令和6年2月29日 | 令和3年4月1日以後終了事業年度分 | 「7 株主又は株式所有異動の有無」に株式交付の欄 |
| 令和6年3月1日以後 | 令和6年3月1日以後終了事業年度分(現行) | 表面「5(7) 電帳法適用状況」(旧「データの保存先」)、裏面「20 年末調整関係書類の電子化の状況」を新設 |
国税庁は改訂の理由を次のように説明しています。
今般、事業者の方々のデジタル化の状況を含め、その法人の経理状況等を把握するため、令和6年3月1日以後終了事業年度分より使用していただく法人事業概況書の様式を改訂します。— 国税庁「『法人事業概況説明書』の様式が改訂されます。」(令和6年1月)
様式は表面・裏面の2ページです。表面は会社の概要(事業内容、支店・子会社、海外取引、期末従事員、PC の利用状況、販売形態、経理の状況)と、千円単位の主要科目・代表者に対する報酬等。裏面は事業形態、設備、決済日、帳簿類、税理士の関与、月別の売上高等、当期の営業成績の概要、年末調整関係書類の電子化の状況です。会社の事業や経理の体制を税務署が把握するための書類なので、決算の数字(主要科目・月別の数字)は決算書・別表と合っていること、表面の「経理の状況」は実態どおりであることが大切です。
どの欄にも共通する書き方:単位・端数・マイナス・空欄
記載要領の「一般的留意事項」は、金額の単位と端数を次のように定めています。
金額は、千円単位(千円未満切捨て)で記載してください(「取引金額」欄については、百万円単位(百万円未満切捨て)で、「源泉徴収税額」欄については、円単位で記載してください。)。なお、千円未満(「取引金額」欄については、百万円未満)を切り捨てたことにより記載すべき金額がなくなった場合又はもともと記載すべき金額がない場合には、空欄のままとしてください。— 国税庁「法人事業概況説明書の記載要領」2 一般的留意事項(1)
マイナスの金額には「△」又は「-」を付け、「▲」は使いません(同(2))。該当・非該当を選ぶ欄は、様式の表示に従って「該当 1・非該当 2」「有 1・無 2」などの番号を書きます。
| 欄 | 帳簿の金額 | 記載する値 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 10 売上(収入)高 | 123,456,789円 | 123,456 | 千円未満を切り捨て(四捨五入しない) |
| 10 営業損益(赤字) | −2,107,170円 | △2,107 | △か-。「▲」は不可 |
| 11 代表者に対する報酬 | 4,830,600円 | 4,830 | 千円単位 |
| 10 特別利益 | 850円 | (空欄) | 切り捨てて0なら「0」と書かず空欄 |
| 3 海外取引の取引金額(輸出) | 38,700,000円 | 38 | 百万円単位(百万円未満切捨て) |
| 18 源泉徴収税額(12月) | 7,500円 | 7,500 | この欄だけ円単位 |
18 月別の売上高等は、同じ表の中に千円の欄と円の欄が並びます。「源泉徴収税額」だけを円で書き、その右の空欄(主要な科目を書く欄)は千円です。端数処理の考え方は 税金・社会保険料の端数処理の早見表も参照してください。
表面1〜9の書き方:事業内容・従事員・PC・経理の状況
表面の上半分は、会社の体制を示す欄です。記載要領の説明がある欄を中心に、書き方を一覧にします。
| 欄 | 書くこと(記載要領・様式) |
|---|---|
| 1 事業内容 | 営む事業の内容。詳細は裏面「12 事業形態」に書く |
| 2 支店・子会社の状況 | 国内の支店・営業所・出張所・工場・倉庫等の総数。海外支店等は総数と、従業員数の多い順に2つの所在地国・従業員数。海外子会社は数と、出資割合50%以上の数、出資割合の高い順に2社(出資割合の小数点以下は切捨て) |
| 3 海外取引状況 | 輸入・輸出の有無と、区分ごとの主な相手国・商品・取引金額(百万円単位)。輸出入以外(手数料・ロイヤルティー・役務の提供など)の有無 |
| 4 期末従事員等の状況 | 常勤役員と職種ごとの人数(職種の例: 工員、事務員、技術者、販売員など)、計、計のうち代表者家族数・アルバイト数。賃金の定め方(固定給・歩合給・併用)、社宅・寮の有無 |
| 5 PC の利用状況 | PC の利用・OS・利用している業務(財務・給与・在庫販売・生産管理)、会計ソフトの利用と名称、メールソフト名、(7) 電帳法適用状況 |
| 6 販売形態 | 電子商取引(インターネット取引)の有無と内容(売上・仕入・経費)、「有・売上」の場合は販売に使うホームページ(自社 HP・他社 HP) |
| 7 株主又は株式所有異動の有無 | 株主の異動・株主間の持株数の異動の有無。株式交付に伴う異動なら「株式交付」欄も |
| 8 経理の状況 | (1) 現金・通帳の管理者の氏名と代表者との関係(親族・他人)、(2) 試算表の作成状況(毎月・おおむね月ごと・決算時のみ)、(3) 源泉徴収の対象所得(給与・報酬料金・利子等・配当・非居住者・退職)、(4) 当期課税売上高(千円)と消費税の経理方式、(5) 社内監査の有無 |
| 9 役員又は役員報酬額の異動の有無 | 当期に役員の異動、役員報酬額の異動があったか |
記載要領が注意している点は次のとおりです。
- 4 計のうち代表者家族数: 期末従事員のうち代表者の家族の人数で、同居・別居は問わず、代表者本人は含みません。代表者の配偶者が役員で、子が従業員なら「2」です
- 5(1) PC: パソコンのほか、タブレット端末なども含みます。(3) 利用形態は自己所有・リースを問いません
- 5(4) 会計ソフトの利用: 自社開発を含み、記帳代行を他社に依頼している場合も「1」(利用)です
- 8(4) 経理方式: 売上を税抜経理にしていれば、固定資産や経費の一部を税込経理にしていても「1」(税抜経理方式)です。当期課税売上高は千円単位で書きます(記載要領に計算方法の定めはないので、消費税の申告書を作った課税売上高と合わせておくと説明がしやすくなります。課税売上高の考え方は 消費税の納税義務の判定)
5(7) 電帳法適用状況と 15 帳簿類の備付状況
令和6年の改訂で新しくなった欄です。記載要領は次のように書き分けています。
| 帳簿・書類の保存の状況 | 優良 | 一般 | スキャナ |
|---|---|---|---|
| 過少申告加算税の軽減措置の要件を満たす優良な電子帳簿で保存 | 1 | 2 | (下の行) |
| 電子データで保存しているが、優良の要件までは満たさない | 2 | 1 | (下の行) |
| 国税関係書類(領収書・請求書など)をスキャナ保存している | (上の行) | 1(していなければ 2) | |
| 帳簿は紙で、領収書・請求書などだけをスキャナ保存している | 2 | ※ | 1 |
| 電子データで保存していない(紙で保存) | 2 | 2 | 2 |
※ 記載要領は「帳簿や国税関係書類を電子データで保存している場合」で優良でなければ「一般」としていて、文言上はスキャナ保存した書類だけの会社も「一般」に「1」と読めますが、はっきりとは書かれていません。迷う場合は税務署に確かめてください。
優良な電子帳簿の保存等を行っている場合、修正申告・更正に伴う過少申告加算税は、その電子帳簿に記録された事項に係る部分について、対象となる税額の5%に相当する額が差し引かれます。通常10%の割合なら5%になる計算です(電子帳簿保存法8条4項。隠蔽・仮装があるときは対象外)。改訂前は、この適用を受ける場合に会計ソフト名の末尾に「(軽減)」と書く扱いでしたが、改訂で「優良」欄に表示することになり、不要になりました。
15 帳簿類の備付状況では、作成している帳簿類の名称を書き、優良な電子帳簿の要件を満たして保存している帳簿は名称の末尾に「〇」を付けます(記載例: 総勘定元帳〇、仕訳帳〇、固定資産台帳〇、売掛帳〇、買掛帳〇、受注簿、作業日報…)。スキャナ保存の要件は スキャナ保存の要件の一覧で整理しています。
10 主要科目と11 代表者に対する報酬等の金額
主要科目は、損益計算書・貸借対照表の主な科目を千円単位で書く欄です。記載要領は冒頭で次のように定めています。
基本的には決算額によりますが、申告調整(申告書別表四又は申告書別表五(一)での加減算)がある場合には、「交際費」を除き、その調整後の額を記載するほか、以下に留意してください。— 国税庁「法人事業概況説明書の記載要領」10 主要科目
続く留意事項を、間違えやすいものから並べます。
| 欄 | 記載要領の定め |
|---|---|
| 交際費 | 交際費等の支出額の合計額(損金不算入額ではなく、申告調整後の額でもない) |
| 受取手形・売掛金 | 貸倒引当金を控除する前の額。受取手形に融通手形は含めない(電子記録債権は含めてもよい) |
| 建物・機械装置・車両・船舶 | 減価償却累計額を控除した後の額 |
| 土地 | 借地権等の額を含める |
| 支払手形 | 固定資産の購入に係るもの(区分できるもの)と融通手形は含めない(電子記録債務は含めてもよい) |
| 買掛金 | 原価性を有する未払金等を含める |
| 個人借入金 | 銀行・信用金庫・信用組合以外からの借入金の合計(代表者・関係会社などからの借入金) |
| その他借入金 | 個人借入金に書いた以外の借入金の合計 |
| 労務費(売上原価のうち) | 福利厚生費等を除いた金額 |
| 人件費の各科目 | 退職金は含めない |
| 各科目共通 | 値引き・割戻し等は控除した後の額 |
| 資産の部合計 | 負債の部合計と純資産の部合計の計に一致させる(検算) |
業種による注意もあります。不動産賃貸業の原価性のある支払地代家賃・リース料、運送業の原価性のある燃料費、金融業・保険代理業の原価性のある支払利息割引料は「原材料費(仕入高)」欄に入れ、金融業・保険代理業の未収利息は売掛金、未払利息は買掛金の欄に書きます。売上原価の内訳は、期首棚卸高・原材料費(仕入高)・労務費・外注費・期末棚卸高と「うち減価償却費」「うち地代家賃」で、販管費は「うち役員報酬・従業員給料・交際費・減価償却費・地代家賃」です。
中小法人。当期の決算で、販管費の減価償却費 1,200,000円のうち 300,000円が償却限度額を超え、別表四で減価償却超過額として加算、別表五(一)に建物減価償却超過額として留保した。交際費等の支出額は 2,350,000円(定額控除限度額 800万円以内で、損金不算入額は0)。
| 欄 | 決算額 | 申告調整 | 記載する値(千円) |
|---|---|---|---|
| 販管費のうち減価償却費 | 1,200,000 | −300,000 | 900 |
| 交際費 | 2,350,000 | (調整しない) | 2,350 |
減価償却費は「調整後の額」の定めに従って 900 と書きます。交際費だけは例外で、別表十五の損金不算入額にかかわらず支出額の合計を書きます。損金不算入額の計算は 交際費の損金不算入額の計算ツール、交際費と会議費の区分は 会議費と交際費の違い(1人1万円基準)を参照してください。
別表五(一)に留保した減価償却超過額を貸借対照表の科目(建物など)にも加えるかについて、記載要領は書いていません。加えると「資産の部合計」と「負債の部合計+純資産の部合計」の検算(留意事項⒁)が合わなくなるので、貸借対照表の科目をどう書くかは所轄の税務署に確かめてください。
11 代表者に対する報酬等の金額
この欄は同族会社の場合だけ書きます。代表者に対する「報酬」「貸付金」「仮払金」「賃借料」「支払利息」と、代表者からの「借入金」「仮受金」の額を千円単位で書きます(記載要領11)。役員報酬の総額ではなく代表者個人に対する額です。貸付金・借入金・仮払金・仮受金を期末の残高と期中の額のどちらで書くかは記載要領に書かれていません。期末の残高で書くなら、内訳書(④仮払金・貸付金、⑩仮受金、⑪借入金)と同じ金額にしておくと突き合わせがしやすくなります。同族会社に当たるかどうかは別表二で判定します。
18 月別の売上高等:人件費・源泉徴収税額・従事員数
裏面でいちばん手間がかかるのが、月別の売上(収入)金額・仕入金額・外注費・人件費・源泉徴収税額・従事員数の表です。売上が複数あれば主なもの2つを原価とともに書き、「源泉徴収税額」の右の空欄には、ほかの主要な科目を書きます。表の下には「計」と「前期の実績」の行があります。人件費などは、記載要領が数え方を決めています。
「人件費」欄には、その月の俸給・給与及び賞与の支給総額(役員に対するものを含みます。)を記載してください。— 国税庁「法人事業概況説明書の記載要領」18(注)3
- 人件費: その月の俸給・給与・賞与の支給総額(役員を含む)。千円単位。記載要領に「支給総額」の範囲の定め(非課税の通勤手当や現物給与を含めるかなど)はありません。下の記載例は、社会保険料・源泉所得税を控除する前の総支給額で数えています
- 源泉徴収税額: 「人件費」欄の支給総額について源泉徴収して納付すべき税額。年末調整で過不足を精算した月は精算後の税額。円単位((注)4)
- 従事員数: その月の俸給・給与・賞与の支給人員(役員を含む)((注)5)
「その月の支給総額」なので、給与を締めた月や費用に計上した月ではなく、支給した月で数えるのが記載要領の文言に合います。月末締め・翌月払いの会社が、帳簿では未払費用(未払金)を計上して発生した月に費用にしていると、帳簿の月別の給与と、この表の人件費が1か月ずれます。
事業年度 2025年4月1日〜2026年3月31日。代表取締役(月 400,000円)、従業員A(月 250,000円)は前期から在籍。従業員B(月 250,000円)は2025年6月1日入社で、初回の給与は7月10日。賞与は7月25日にA(300,000円)、12月25日にA・B(各 300,000円)。帳簿は毎月末に給与を未払計上している。
| 支給した月 | 支給の内容 | 人件費(千円) | 従事員数 |
|---|---|---|---|
| 4月〜6月(各月) | 前月分の給与(代表・A) | 650 | 2 |
| 7月 | 6月分の給与(代表・A・B)+ Aの賞与 | 1,200 | 3 |
| 8月〜11月(各月) | 前月分の給与(3人) | 900 | 3 |
| 12月 | 11月分の給与(3人)+ A・Bの賞与 | 1,500 | 3 |
| 1月〜3月(各月) | 前月分の給与(3人) | 900 | 3 |
| 計 | 10,950 |
計の内訳: 代表 400,000 × 12 = 4,800,000円、A 250,000 × 12 + 賞与 600,000 = 3,600,000円、B 250,000 × 9(7月〜3月の支給)+ 賞与 300,000 = 2,550,000円、合計 10,950,000円。
帳簿(発生した月で計上)の給与・賞与の合計は、前期3月分(4月支給の 650,000円)が入らず、当期3月分(4月支給の 900,000円)が入るので 11,200,000円です。差の 250,000円は、Bの当期3月分の給与です。7月は賞与があっても A は1人として数え、従事員数は3人です。
12月に支給した給与・賞与について源泉徴収した税額が合計 41,200円、年末調整で還付した額(過納額の精算)が合計 33,700円なら、12月の源泉徴収税額は 41,200 − 33,700 = 7,500円 です。還付額のほうが多く、精算後の額がマイナスになるときは、一般的留意事項に従って「△」を付けます。
この欄に書くのは、「人件費」欄の給与・賞与について源泉徴収した税額です。税理士報酬・原稿料などの報酬・料金から源泉徴収した税額は含めません(どの所得から源泉徴収したかは表面の8(3)で示します)。源泉徴収簿の各月の税額や、納付書の「俸給・給料等」「賞与」の欄の金額と照らし合わせると確認できます。納期の特例を受けている会社も、納付した月ではなく、支給した月に書きます(源泉所得税の納期の特例)。
そのほかの裏面の欄:事業形態・決済日・税理士の関与・年末調整の電子化
| 欄 | 書くこと |
|---|---|
| 12 事業形態 | (1) 2以上の事業を営む場合の従たる事業内容(できるだけ具体的に)と売上に占める割合、(2) 同業他社と比べて事業内容が違う点、(3) 売上に占める現金売上・掛売上の割合 |
| 13 主な設備等の状況 | 機械装置(名称・用途・大きさ・型・台数)、車両(名称・用途・台数)、店舗(店舗名・住所・延床面積・テーブル数・収容人員)など。内訳書等に記載がある事項は省略してよい |
| 14 決済日等の状況 | 売上・仕入・外注費の締切日と決済日、給料の締切日と支給日 |
| 15 帳簿類の備付状況 | 作成している帳簿類の名称。優良な電子帳簿は末尾に「〇」 |
| 16 税理士の関与状況 | 氏名・事務所所在地・電話番号と、関与の内容(申告書の作成・調査立会・税務相談・決算書の作成・伝票の整理・補助簿の記帳・総勘定元帳の記帳・源泉徴収関係事務)。複数の税理士が関与していれば主な1名 |
| 17 加入組合等の状況 | 主な加入組合・団体と役職名、営業時間、定休日 |
| 19 当期の営業成績の概要 | 経営状況の変化・経営方針の変更で特に影響のあった事項を具体的に。同じ内容の別の書類を添付すれば省略してよい |
| 20 年末調整関係書類の電子化の状況 | 年末調整関係申告書の取扱いの有無、申告書・保険料控除証明書等を電磁的方法で受け付けられるか、マイナポータル連携での取得、年末調整で使うシステム(国税庁の年末調整控除申告書作成用ソフトウェア・市販ソフト・自社製) |
14 の「給料の締切日・支給日」は、18 の人件費をどの月に書くかと対応します。記載例3の会社なら「締切日 末日・支給日 翌月10日」で、18 の4月の人件費が前期3月分の給与になっていることが読み取れます。
20 は、16 の関与状況で「源泉徴収関係事務」に「1」を付けた場合に協力を求める欄です。国税庁の改訂の案内は「この項目は、源泉所得税の税理士関与がない場合は、記載を省略していただいて差し支えありません」としています。記載要領の(注)によると、(1) は役員・従業員から年末調整関係書類を受け取る機会がなければ「無」、(2)(3) は書類の全部又は一部を電磁的方法で受け付けられれば「可」、(4) はマイナポータル連携で取得しているものの有無を把握していなければ「未把握」です。この欄の「年末調整関係申告書」には、扶養控除等申告書・配偶者控除等申告書・保険料控除申告書などのほか、特定親族特別控除申告書も含まれます。従業員がスマートフォンで申告書を出す方法は 年末調整をスマホで集める流れで説明しています。
提出の方法:書面と e-Tax
- 書面で申告する場合: 書き終えた概況書は、他の書類とホチキス止めなどをしないで、申告書に挟み込んで提出します(記載要領1(2))。様式は国税庁のホームページ(法人税の申告書等の様式の一覧の「法人事業概況説明書(税務署所管法人用)」)にあります
- e-Tax で申告する場合: e-Tax には法人事業概況説明書の帳票があり、申告データ(.xtx)の中に、別表・内訳書とともにデータとして入れて送ります。e-Tax のファイル形式を定める国税庁告示(令和8年国税庁告示第4号)の概要では、財務諸表(XBRL・CSV)・勘定科目内訳明細書(XML・CSV)以外の、e-Tax が入力方式に対応している添付書面等は XML の区分です
- 電子申告の義務化の対象法人(資本金1億円超など)は、添付書類も含めて e-Tax で提出します。詳しくは e-Tax で法人税・消費税を申告する方法
申告データに概況書が入っているかは、e-Tax ソフト(WEB版)の帳票表示で確かめられます。開き方は xtx ファイルとは・開き方を参照してください。e-Tax ソフトで直接入力するときも、各欄の単位(千円・百万円・円)は書面の様式と同じ考え方です。
完全支配関係がある法人を有する場合は、出資関係図(グループ内の最上位の者を頂点に、決算期末の出資関係を系統的に示した図)も添付します。記載要領の末尾に作成例があります。
間違えやすい点
- 千円未満を四捨五入する・0を書く: 千円未満は切り捨てで、切り捨てて0になった欄は空欄です。マイナスは「△」か「-」で、「▲」は使いません
- 源泉徴収税額を千円で書く: 18 の源泉徴収税額だけは円単位です。海外取引の取引金額は百万円単位です
- 交際費に損金不算入額や調整後の額を書く: 交際費は支出額の合計です。逆に、減価償却費など申告調整がある科目は、調整後の額を書きます
- 売掛金・受取手形から貸倒引当金を引く: 貸倒引当金の控除前の額です。建物・機械装置・車両は減価償却累計額の控除後の額で、扱いが逆なので注意します
- 18 の人件費を計上した月で集計する: 記載要領は「その月の…支給総額」です。月末締め翌月払いの会社が支給した月で書くと、帳簿の月別の給与とは1か月ずれ、年の合計も損益計算書と期首・期末の未払分の差だけ違います(記載例3では 10,950千円と 11,200千円)。差の内訳を説明できるようにしておきます。役員報酬も人件費・従事員数に含めます
- 18 の源泉徴収税額に報酬・料金の源泉や住民税を入れる: 書くのは人件費の給与・賞与について源泉徴収した所得税(復興特別所得税を含む源泉徴収税額)で、12月などの年末調整の月は精算後の額です
- 代表者家族数に代表者本人を数える: 本人は含めず、同居・別居を問わず家族の人数です
- 古い様式を使う: 令和6年3月1日以後に終了する事業年度は現行の様式です。5(7) が「データの保存先」になっている様式は改訂前のものです
決算の前後に確認したい項目は 決算前の税務チェックリストにまとめています。申告書一式の検算(別表四と別表五(一))は 法人税申告書の作り方、次に読む記事としては、同じ添付書類の 勘定科目内訳明細書の書き方がおすすめです。
この記事の計算ができる無料ツール
ISZ™ 仕訳AI では
ISZ™ 仕訳AI は、確定した仕訳・決算書・別表から、法人事業概況説明書を国税庁の様式に記入した PDF と、e-Tax 用の申告データ(.xtx の中の概況書のデータ)で作成します。
- 10 主要科目・11 代表者に対する報酬等を千円単位(千円未満切捨て、マイナスは△)で記入。金額のない欄は空欄
- 18 月別の売上高等は仕訳から集計し、給与計算をしている年度は人件費・源泉徴収税額(給与の源泉所得税だけ、年末調整の精算後)・従事員数を支給日の月で数える
- 8(4) の当期課税売上高・消費税の経理方式を、消費税の計算と同じデータから記入
- 別表・勘定科目内訳明細書①〜⑯など法人税の申告書一式と一緒に、PDF・.xtx に出力
事業内容・設備・経理の体制など帳簿にない欄は、会社・税理士が入力して確認します。会計・申告・帳簿の機能は無料(期限なし)。AIの機能には有効なAI枠が必要で、登録でAI枠100枚つき(1か月有効)・クレジットカード不要。
よくある質問
法人事業概況説明書は必ず提出しなければなりませんか?
法人税の確定申告書には「事業等の概況に関する書類」を添付することとされており(法人税法施行規則35条5号)、税務署所管の法人はこの書類として法人事業概況説明書を使います。国税庁の記載要領も、確定申告書を提出する際に添付するよう求めています。
金額の単位は何ですか?
原則は千円単位(千円未満切捨て)です。海外取引状況の「取引金額」は百万円単位、月別の売上高等の「源泉徴収税額」は円単位です。切り捨てて0になった欄や金額のない欄は空欄にし、マイナスは「△」か「-」を付けます(「▲」は使いません)。
主要科目の交際費には何を書きますか?
交際費等の支出額の合計額です。損金不算入額ではありません。ほかの科目は、別表四・別表五(一)で申告調整がある場合は調整後の額を書きますが、交際費はこの定めの例外です。
月別の人件費は、帳簿に計上した月と給与を支給した月のどちらで書きますか?
記載要領は「その月の俸給・給与及び賞与の支給総額(役員に対するものを含みます。)」としているので、支給した月で書くのが文言に合います。月末締め翌月払いで未払計上している会社は、帳簿の月別の給与と1か月ずれます。
月別の源泉徴収税額に、税理士報酬から源泉徴収した税額を含めますか?
含めません。「人件費」欄に書いた給与・賞与の支給総額について源泉徴収した税額を書きます。年末調整で過不足を精算した月は、精算後の税額(円単位)です。
「電帳法適用状況」の「優良」と「一般」はどう違いますか?
過少申告加算税の軽減措置(電子帳簿保存法8条4項)の要件を満たす優良な電子帳簿の保存等を行っているときは「優良」、それ以外の方法で電子データで保存しているときは「一般」に「1」を書きます。スキャナ保存をしていれば「スキャナ」にも「1」を書きます。該当しない欄は「2」です。
「20 年末調整関係書類の電子化の状況」は書かなければいけませんか?
16 税理士の関与状況で「源泉徴収関係事務」に「1」を付けた場合に協力を求める欄です。国税庁の改訂の案内では、源泉所得税の税理士関与がない場合は記載を省略して差し支えないとしています。
出典
- 国税庁 法人事業概況説明書の記載要領(令和6年3月1日以後終了事業年度分)
- 国税庁 法人事業概況説明書 様式(令和6年3月1日以後終了事業年度分)
- 国税庁 C1-1 法人税、地方法人税及び防衛特別法人税の申告(様式の一覧)
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更新履歴
- 2026/11/07: 公開
この記事は公表された法令・通達・国税庁などの資料にもとづく一般的な解説で、個別の税務相談に代わるものではありません。制度・料率は改定されることがあります。実際の申告・納付・給与計算では最新の資料をご確認のうえ、専門家にご相談ください。